今回は、8月26日にご報告いただく桃崎祐輔氏(福岡大学)のご専門や、これまでの研究内容などについてご紹介させていただきます。
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桃崎祐輔氏は、ユーラシアの騎馬文化、4~18世紀の考古学を専門としています。氏の研究の特徴は、「中世」という時代を、「重装騎馬戦術にもとづく武人政権の成立と、その暴力の制御装置としての宗教権門の巨大化による相互補完的メカニズムの成立」と捉えていること。この観点から、古墳時代社会も初期中世と理解しています。
今回の報告は、ミワ部を主体とする滑石製模造品を用いた祭儀がテーマ。古墳時代の祭祀信仰で重要な役割を果たしたミワ部は、須恵器生産や子持勾玉を含む滑石製模造品の生産に関与していました。古墳時代中期以降、朝鮮半島からの渡来技術を基盤とする須恵器甕を用いた醸造技術により、荒ぶる神霊を酩酊・鎮静させる神酒という新しい呪術メカニズムが確立していきますが、これに滑石製模造品の祭祀儀礼が結びついたと主張するものです。
【主な論著】
・「東アジア的視点から見た、三燕・朝鮮・三国の馬具」『馬 アジアを駆けた二千年』九州国立博物館開館5周年記念特別展図録、2010年
・「牧の考古学-古墳時代牧と牛馬飼育集団の集落・墓-」『日韓集落研究会 第5回合同研究会「日韓集落研究の新たな視角を求めて」』江陵大学校博物館、2011年
・「牧の考古学-古墳時代牧と牛馬飼育集団の集落・墓」『日韓集落の研究-弥生・古墳時代および無文土器~三国時代-』(最終報告書)日韓集落研究会、2012年
・「3 交通と伝達 乗馬」福永伸哉・一瀬和夫・北條芳隆編『古墳時代の考古学 第5巻 時代を支えた生産と技術』同成社、2012年
(文責:世話人ブログ担当)
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